真白学園2年A組

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「おまたせしましたー!どうだ。プリティな見た目だろ!」 「…………………」 「やめて!そんな冷たい目で見ないで!」 オムライスを持って行った瞬間の奏の目…恐ろしい冷気を発してたよ。 絶対キモいって思ってんだろーな。ハートのとこ、真ん中からスプーンぶっ刺して食ってるし。 オムライスに罪は無いのに…! 「味…どう?」 黙々と食べ続ける奏に聞くと、 「いつも通り」 と返されました。辛い。 それはいつも通り美味しいよって事なのか、普通ってことなのか… 美味しいことを祈る。 軽く半泣きになりながら、俺もオムライスを食べ始める。 美味い。自分で言うのもアレだけど、本当に美味い。 「可哀想な俺…これが世を生きる主婦の気持ちか。頑張って作っても褒めてもらえないとはこういうことか!」 「早く食え」 「了解しました!」 こんな冷酷人間が何でモテるのか、本当に分からない。 俺なんて家事も出来る完璧人間なんだぞ。 いつでもお嫁さんに行けちゃうくらいのスキル持ってんだぞ。 「奏…褒めて」 「…………後でな」 今はオムライス一筋ですか!そうですか!俺にもその愛を向けてよ! と、毎日こんな事を思いながら…涙をこらえて生活する日々。 心の声を全部さらけ出したら、奏に引かれるのは分かってるから言わない。 多分、たまーに怒りの鉄拳とか飛んで来るのも分かってるし。 やっぱ気持ちは内に秘めるのが1番だよね。触らぬ奏に祟りなし。 「ごちそうさま」 早いでござるな奏殿…。それが俺にとっては美味しかったの合図になるからいいんだけどね。 あんまり好きじゃないご飯は食べるの超遅いし。
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