美しすぎるカップル

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「お前も、大事な人でも作れ。ひよりちゃんは…あんなに強か、ったのに…喧嘩、やめ、て…殴られ…うぅ」 「何で自爆してまた泣き出してんだよバカか」 せっかく泣き止んできてたのに、こいつ自分で自分の地雷踏みやがった。俺が人生で初めて慰めた努力返せよ。 てか、大事な奴なんか簡単に作れんならとっくに作ってる。 彼女とか興味ない。でも、ちょっとした好奇心はある。 絶対すぐ相手に疲れて別れんのがオチだから作ろうとも思わないけど。ってか好きとか分かんないし。 「それなら、俺も誰か見つけるから…お前も次探せよ。勝負な」 「なん、だよ…それ」 「じゃねえと終わらないだろこの話。次だ次。俺もそれに付き合ってやるんだからありがたく思え」 「お前に…何のメリットがあるんだよ」 「ない。でも勝負なら負けたくないからやる」 「分かった…ありがとう…」 これでいいのか?もう飯食えるよな。普通に喋ってるし。3日分の食費は稼げたな。 はぁ…疲れた。 「もう離れていいか」 「無理」 「は?」 「こんな顔見られたくない」 女子かこいつは。ったく。 「今日だけだからな。元に戻ったら言え」 「ありがとう」 そのままお互い喋ることなく。犬猿の仲だった俺達は抱きしめ合ったまま…無言で、何分も過ぎた。 隣に座る吉野を抱き締めるこの体勢は、ずっと体を捻ってるから凄い疲れる。 「寝転ぶ。上に乗れ」 だから吉野を上にして、そのまま横になった。 文句言われるかと思ったけど、吉野は何も言わずに従った。 抱き枕なんかしたことないけど、こういうのもアリかもしれない。こいつちょうどいい大きさだし、超快適。 これ、寝れる。 「さっきの却下。俺が起きるまでこうしてろ。離れたらぶん殴る」 「…なんだよそれ」 「寝る」 何か俺に文句を言ってる声が聞こえたが、全くもって俺の耳には入ってこなかった。 今回のは相当疲れたらしい。俺はすぐに意識を手放していた。
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