プロローグ

2/5

1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
「おい市川!」 「んだよ…?」 見るからに、ガタイの良い…力強そうな男に呼び止められている、金髪の男。 ものすごく明るい金髪。 見るからに強面の男に呼び止められているにも関わらず、全く物怖じせずにそいつへ振り返る。 この金髪が、俺。 「この前の借り、返しに来たぞ」 「てめぇがボコられるだけだってのに…いい根性してんじゃねえか」 その男に比べると、あまりにも細い体だが、程よく筋肉は付いている。 いわゆる細マッチョ、ってやつか。 俺、市川 伊織(いちかわ いおり)…この時、14歳。 ちょっとグレた可愛い可愛い中学生。 喧嘩は好きじゃないけど…ちょっと噛みつきグセがあるせいで、喧嘩はだんだん強くなった。 その証拠に、さっきの男はもう既に地面に突っ伏している。 こんな事をしているうちに、学業は疎かになり お世辞にも、頭のいい子とは言えない頭脳になっていった。 それでも、中学の頃はちょっとばかしヤンチャしてた方がモテた。 運動も出来るし、友達もけっこう増えたし、自分で言うのもアレだけど…顔も悪くないし。 だからモテた。 でも、気付いたんだよ。 仲のいい女の子に、面白いからって漫画を借りた事があった。 少女漫画…女の子はこういうのに弱いから、勉強も兼ねて読んでみろって。 正直、面白かった。 こんな男がモテるのか…とか、考えながら読むと面白い。 それから、いろんな女の子に少女漫画をたくさん貸してもらった結果… 分かった事が一つある。 主人公の女の子が好きになる男の性格は、ちょっと口が悪い男やムードメーカー、不良とか…いろいろ居るけど どこかで、不意に優しくなったり、素直になったりして…そのギャップに落ちてる。 そしてどの漫画でも、モテ役として君臨しているのが…爽やか系男子。 優しくて、裏表が無くて、かっこよくて…とにかく良い奴。 性格に何の難も無い良い奴。 そういうことに、俺は気付いてしまったのだよ…!
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加