美しすぎるカップル

18/24
前へ
/480ページ
次へ
「とにかくその話は後回しにしよう!な!晩御飯の支度しなくちゃなんねーし!」 「そうだな。お楽しみは後にするか」 「もう突っ込まないぞ」 スーパーで買ってきた食材をキッチンに並べて、魔王のことは気にせず支度を始めた。奏は強引なところがあるけど、言い聞かせればある程度の距離感を持ってくれるからありがたい。 いつも奏の特等席であるソファを吉野くん達に取られてるから、すっげぇイライラしながら蹴とばしてたけど。床に落ちても抱き合ったまま寝てる二人にはもう凄いの一言しか出ない。 ひよりちゃんの一件で吉野くんのこれからが心配だけど…あの様子なら橘と一緒に仲良くしていけそうな予感。むしろそうでないと困る。吉野くん今一人にしたらヤバイと思うし。 友達になれるよう仕向けなきゃ。学年違いの俺たちより、同じ年の橘の方が長く一緒にいれそうだしなぁ。 そういや、あいつら元気かな…早く地元に帰りたい。好きな女に振られて慰める会とかしてた記憶がある。俺じゃなくて友達の。顔も悪くない恋愛体質の奴がいたけど、誰とも付き合えたことのない残念な奴がいた。 バカな奴だったけど、振られた時だけは大人しくて…よく皆そいつの為に皆で集まって慰める会してたな。かなり頻繁に。最終的にはからかって遊んでただけの気もするけど。 『お前なんかいなけりゃ良かった』 ああ。そういや俺の事が大嫌いな奴もいたな。嫌なこと思い出した。 『お前を仲間だと思ってた俺が間違ってたんだな』 違うよ。俺はお前らと仲間でありたかった。仲間だと思ってた。裏切ってなんかいない。俺はハメられたんだよ。信じてくれよ。 「いたっ…」 「何してんの」 そんなことを考えていたら、指を切った。すかさず奏が手当てしてくれた。良い奴。久しぶりに指なんか切ったな…やっぱ料理中に考え事は良くない。 少しブルーになった俺に気付いたのか、奏がどうしたんだって聞いてくれたけど、なんでもないと嘘をついた。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加