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まあ、そんな嘘は奏にとっては嘘丸見えらしく。
「俺はずっと伊織の味方だ」
なんて、俺のほしい言葉をかけてくれる。
俺が何を考えているかなんて、奏には分かるはずがないのに。エスパーか何かなのかこいつ。それとも俺が分かりやすいだけなのかな。
「考え事するなら俺に言え。伊織は1人だとロクなこと考えないんだから。俺の許可なく怪我するな」
「どこまで俺様なんだよ…。でも、ありがとう」
切った指に優しく絆創膏を貼ってくれたまでは良かったけど、何を思ったのかその指にキスされた。どこの王子様なんだ君は。王子様は俺のポジションだぞちょっとドキッとしてしまっただろうがなんだその技は。
その技いただき…!
「余計な事考えてるだろもっと怪我したい?」
「さっきまでの優しさカムバック…!!!」
そして、またいつも通りの会話に戻る。
その時は気づかなかったけど、奏は俺を元気にするのも上手いよな。それが奏なりの優しさなんだってこと、バカな俺はすぐに気付けなかった。
何故かそれからは奏がずっと隣に立っていて、手伝うこともなく…つまみ食いという邪魔をしながらも俺とずっと喋ってくれて、さっきまでの嫌な気持ちも忘れて料理は滞りなく完成した。
今日は奏のご機嫌を斜めにしまくっていたから、奏の大好物である焼き鮭をメインに和定食をイメージして作った。
テーブルに4人分用意して、まだ寝ている吉野くんと橘をたたき起こす奏を止めながらも、4人での食事も賑やかでいいなって。
これからの3日間がすこし楽しみになった。
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