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食事を終えて、吉野くんと橘は仲良く帰っていった。仲良く言い合いをしながら。
4人分に増えた食器の洗い物は奏がやってくれた。
その後はテレビを見ながらまったり過ごして。一緒に入ろうとするのを阻止しながらお風呂に入って。
「やっぱ一緒に寝るのね」
「当たり前だろ」
「悪霊よ静まりたまえ…!!!ごめんなさいだからそんな虫けらを見る目で見ないで!」
ったく。奏にはいつまで経っても俺の軽いノリが伝わらないよね。言ってる事は本気なんだけど。
やり過ぎるとまた暴力に走られそうだから、大人しくやめることにした。
ここは奏の家なんだろうか。ってくらいのびのびと人のベットに寝転んでくつろぐ奏をもはや賞賛したい。
「早く来い。3秒以内」
「絶対何もすんなよ!?何かしたら友達やめるからな!?絶交だぞ!絶交だからな!?」
「いち、にい、さ」
「お邪魔しまーす!!!」
何で高校生男子2人が同じベットに?狭いよ。寝返りでもしようもんなら落ちるよ俺が。
何で安全な壁側を奏が陣取ってるんだ解せぬ。
「俺、落ちますよ奏さん」
「変わる?俺が何かしても逃げられなくなるけど」
「こっちで大丈夫です寛大なお心に感謝致します!」
ゆっくり寝たいのに、こんなギューギューじゃ寝れないぞ…ぴったり奏とくっ付いてても腕半分ベットからはみ出てるよ…
なんて思ってると、奏の手足が俺の上に。
「ちょっと待って奏さん嫌な予感しか生まれないよ奏さん何しようとしてるんですか奏さん思いとどまってよ奏さん…!?」
「スペース節約。黙って寝ろ。それ以上喚いたら襲う」
「………おやすみなさい」
背を奏に向けて。そんな状態でもぴったりくっつく奏のお腹。
ビビリまくってる俺の心臓の音が聞こえちゃう。
黙ってるからか、余計に耳に響いて恥ずかしい。
「伊織…何もしないから、隣で寝かせて」
静かに耳元で聞こえる奏の声に、更に心拍数が上がった。甘い声ですな奏さん。これ女の子ならキュン死するやつだよ。
「お、おう…」
とか思いながら情けない返事しか出来ない俺。
そして気付いた。背中越しに聞こえる奏の心拍数に。ドクドクと大きく動く心臓を感じる。
何故か、俺も更に心拍数が上がった。
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