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次の日。
ベットから落ちた衝撃で起きた。
「いっ…て」
腰を強打した。寝起きからHP0スタートだ最悪。
奏に何もされないまま朝を迎えた。あの奏が何もしないなんて珍しい。
本気で何かされるかと思ったのに。
いや、されなくて良かったんだけどさ。なんとも驚きが隠せない。俺ってばちょっと大事にされてる?
「何考えてんだ俺…」
痛む腰を押さえながら立ち上がり、奏を見た。
キスまではしちゃった仲だ。そこまでならされるかも…とか思ってた俺が馬鹿らしい。
いや、期待してたわけじゃないよ?断じて違うよ?
「綺麗な寝顔しやがって」
寝顔まで完璧とかすげーな奏さん。俺もきっと美しい寝顔をしてるんだろうけど。
何か、奏はいつもの恐ろしいイメージがあるからか寝顔が天使のようだ。この顔で骨折るぞ的発言が出るとは思えないってくらい、綺麗な寝顔。
時計を見ると朝の6時。いつもと変わらない時間だった。
顔を洗って、歯磨きして。ボサボサの髪はそのままに、朝飯を作り始めた。
そういや橘も来るんだっけか。あいつなら俺の本性も知ってるし、朝から取り繕う必要もなくて良い。
机に料理を並べ終えても寝てる奏を起こすと、すげえ不機嫌な顔をしていた。
さっきまでの天使の寝顔どこ行った?
「奏、飯」
「んー」
声をかけると、ゆっくり起き上がってくれたけど…まだどこか夢の世界にダイブしてる。
ベットの端に座ってる俺をじろりと見ると、あくびをした。何で俺見てあくびが出るんだ失礼だろ。
「飯出来た。早く顔洗ってこいよ。冷めるぞ」
静かにそう言って立ち上がると、腕を引っ張られた。
あまりに突然の事で、ベットに舞い戻ると…何故かそのまま軽いキスをされて。
「は…え…?」
「おはよう」
朝の挨拶を済ませると何もなかったかのように、奏は洗面所へと消えていった。
何だったんだ今の流れるように軽やかなキスは…!
おはようの?おはようのキス?え?昨日何もしなかったくせに寝ぼけてるのか?え?なに?
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