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「そういやセンパイ達のクラスって文化祭何するんですか?」
「げ…劇だよ」
何の気ない質問なんだろう。楽しそうですね!なんて笑ってる吉野くんの笑顔が眩しいよ!
昨日の暗い吉野くんから復活したのは良いんだけどね!これは俺にとっての地雷なんだよ知ってた?知らないよねー。そうだよねー。
「何の劇ですか?」
やっぱ来るよねその質問。
答えを言うのが嫌すぎて渋っていると、案の定隣で歩く魔王様がシンデレラだとバラす。
ついでに俺がシンデレラ役だってことも。
「先輩が女役?なにそれ超ウケる」
ウケねーよ。なんにも面白くねえよ。楽しそうだな橘!またぶん殴ってやろうか?
って憎しみを込めながら笑っておいた。
「俺達のクラスは焼きそばです!あの、昨日のお礼にご馳走するので来てください…」
「え?そんなのいいのに。俺が好きでやった事だから」
「そのお礼を言いに行こうとしたのに、こいつと会って…タイミングを逃したまま朝ごはんまで…」
そのまま一緒に学校まで来ちゃうくらいタイミング逃すってすごいな吉野くん。
別に気にしてないからいいけど。
「初めて出来た後輩なんだから面倒見させてよ。俺は本当に好きでやってるし、吉野くんさえ良ければいつでも遊びにおいでよ」
うわぁ。俺、超良い奴。俺、超良い奴じゃん。今の言葉に加えて爽やかスマイル。
これは完璧だわ。
理想の先輩すぎて自分で自分に惚れちゃいそう。
吉野くんもめっちゃ良い人…!って感じで見てるよありがとう。もっと思ってくれていいんだよ。
なんて自惚れてると、ガシッと魔王に肩を掴まれて…何故か後ろから抱き締めるようにして捕獲された。
「俺の許可を取ってから来いよ。邪魔する奴はぶっ殺す」
なんて、遠まわしに俺と他の人間との時間に魔王からの許可が必要という、俺の人権を完全無視した発言を言いやがりました。
さすが悪魔王!!!
その束縛の強さにはもう感動さえ覚えるぜちくしょう!
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