シンデレラは眠らない

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「今日は全員出席だ!先生嬉しいぞ!」 感動している担任。 今日は珍しく斎藤くんも来た。遅刻ギリギリ…いやアウトだったけど、斎藤くん更生プロジェクトなうの先生がセーフにしてた。 不公平極まりないなおい。 「おはよう斎藤くん」 「おう」 いつも通りの素っ気ない返事。だけど今日はどことなく声が明るい。 何かいい事でもあったんだろうか。 もしや遂に保健の先生と…!! 「ジロジロ見てんじゃねえよぶち犯すぞ」 「あ?」 魔王様が轟音と共に俺よりも早く反応した。 背後から来るブリザードが凄いよ…もう初夏だからちょっと暑かったのに! 自然のクーラーですかい魔王様ぁ! なんて、轟音の正体を探ろうと振り向けば、教科書にシャーペンが刺さってた…。 ん?んん?プラスチック製のシャーペンって…分厚い教科書に刺さるもんなの? 俺、いつもあの馬鹿力で暴力振るわれてたの?これで生きてるってすごくない? 「旦那落ち着いてくだせえ…教科書に穴が…」 「何で斉藤のこと見てたの?伊織にも空けようか?」 「き、教科書に開くなら人体にも空くなぁ…それはちょっと嫌だなぁ…あは、あはは…」 正直に言おう! これは武者震いではなく、ただの恐怖だ! 目がガチだよー。奏さん…時間の流れと共に凶悪度も上がってない?俺、このままだといつか人前で失禁しちゃうよ? おしっこ漏らしちゃうよ? 「そこ、静かに!」 天使のような担任の助けに尿意が消えた。 ありがとう先生!社会科室に行かされた時も、斎藤くんを押し付けられた時も、ろくなこと無かったけど今回ばかりは最高だよ!! 俺の中での地位がうじ虫くらいから蝉くらいには上がったよ!
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