シンデレラは眠らない

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「では皆さん、班になってください」 古川先生の授業は穏やかに進んでいく。 癒しだ。これは癒しだ。日々魔王からの恐怖に打ち震えている俺への御褒美かもしれない。 女の先生だったら最高だったんだけど、ここで贅沢は言うまい。 先生は6人1組の班を作ると、机をくっつけさせた。俺達の班は魔王と、斎藤くんもいるからか…うん、カオス! 何もしてないのに険悪ムードぷんぷん。 「このクラスの委員長は誰ですか?前に出てきてください」 先生にそう言われて、俺は地獄から天使の元へと進んだ。 なんだ…この澄み渡った空気は…!! 先生のオーラが穏やかすぎて凄いよぉ…今までの苦行が浄化されてる気がする…。 俺の班辺りで何か折れる音がしたけど、きっと気のせいだということにして振り向くのはやめた。 喜びが滲み出ている俺を見て、きっと邪神が目覚めたに違いない。 席に戻る頃に終わってしまう命なら…俺は最後に天使の癒しを望む!!! 「俺が委員長です」 精一杯の感謝の気持ちを込めて微笑むと、それ以上の優しい笑顔を返された。 は…破壊力がハンパねぇぜ!! 「有名な市川くんですね。お会いできて嬉しいです。ここに寝転んでください」 今は緊急時の応急処置の授業をしている。 配られたプリントには心臓マッサージの挿絵もあったから、これからそれをするんだろう。 机を合わせたのは、これをベット代わりにする為だ。俺はガチガチに硬いベットもどきへ寝転んだ。 「皆さん、見えるように前へ来てくださいね」 先生はまず、気道を確保出来るように仰向けに俺を寝かせると、呼吸の確認をする為に口元へ耳を近づけた。 吐息…先生の吐息が耳に!何かエロいぜ先生… 「こうやって、呼吸を確認する事を忘れないでください」 しかも耳元で話すもんだから…なんかぞわぞわする。 吐息混じりで優しく囁かれたことに内心興奮していると、視界の片隅に禍々しいオーラが2つ… 言うまでもなく魔王と斎藤くん。 「こえぇ…」 先生にも聞こえないかなくらいの声が漏れた。 皆が注目している中、泣いちゃうことも漏らしちゃうことも避けたい俺は…そっと目を閉じて… 考えるのはやめた。 これは授業これは授業これは授業これは授業これは授業これは授業これは授業これは授業…
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