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きっと奏が助けてくれる…でも、さすがに息を吹き込まれながらそんな気長に待てない。
息できない。無理。
そう思ってたら、体が勝手に動いてた。
両足を素早く先生の腰に掛けて、その勢いを利用したまま上半身も捻って左へ倒すと、先生と俺の位置は逆になる。
「おや。お上手ですね」
「そりゃどーも…」
こちとらマウントポジション取られながらボコボコにされた経験もあるんでね。
ちゃんと解決策も持ってますよそりゃ。
爽やかを忘れて、こんな暴挙に出ちゃったけど大丈夫かな…なんてみんなの方を振り向くと、目の前には拳を振り上げた殺人鬼がいた。
「危ない…もう少しで殴るとこだった」
なんて、きっと先生を殴ろうとしてたんだろう奏は手を下ろした。
皆は皆で…やっぱ男だからかな、俺のアクロバティックさに歓声が出てる。おおーって…それより誰か疑問に思えよ。
俺、俺…先生に人工呼吸されたんだよ!?おかしいでしょ!?皆頭大丈夫!?
爽やかしてなかったら全員1発ずつ殴ってるよ確実に!八つ当たりだけど!!
「先生…もう戻って良いですか」
「どうぞ」
何でまだ笑顔なんだこの先生。
やっぱり斉藤くんが惚れるだけあるのか…この先生、めちゃくちゃ爽やかな感じするけどビッチ臭が半端ないよ…。
「では皆さん、班になって実践しましょう」
何なんだこの授業はぁ!!?この学校…前々から思ってたけど…人間性に著しく欠けた部分があるよ…同性愛っていうの?それは良いんだよ。
ただな!ただ!それを常人の俺にも押し付けるんじゃなかよ!!ばかたれがぁ!!
男女間でも人工呼吸なんかしねぇわ。
むしろ人工呼吸しましょう、とか言って恋人でもない奴にキスしてくる男にも女にもろくな奴いねぇよ!
犯罪だかんな!それ犯罪だかんな!?
という目を向けながら、一言も話さず自分の班へ戻った俺を褒めて欲しい。
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