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「本当にキスされたのか」
「あんなのキスじゃないよ!?あれ窒息死させに来てたからね!?死は目の前だったよお花畑見えるところだったよ!」
「ちょっとあいつ殺してくるわ」
「違う違う。それは違う」
殺人鬼再臨の奏さんを全力で止める作業も慣れたもんだぜ。
どうやら先生の手と髪で、肝心の所は皆から見えてなかったらしい。
古川先生ちょっと髪が長めなんだよね。体つきは良いから見間違える事はないけど、後ろ姿は頭だけ見れば女だ。
それにしても…わざわざ見えないようにキスしてきたってことは確信犯だよね。
「二度と近づくなよ」
「言われなくてもだよ…」
次は殴っちゃう自信しかない。
今まで築いてきた爽やかをそんなことで水の泡にしたくないもんね。
まだ彼女出来てないし…。
このクラス、佐々木くんみたいに普通の子もたくさん…というか、普通の子の割合の方が高いはずなのに、何で俺の周りだけ普通じゃない奴ばっかり集まるの?
ま、まさか…
俺には普通の人を変な人に変えちゃうフェロモン的な何かが…出て…るわけないな。そんなのあったら研究対象になっちゃうわ。
「お前、古川の虜になったのか」
「やかましいわ。んなわけねぇ…だ、ろ…すみません何かの間違いです」
あっぶねー!
つい奏と喋ってるノリで斉藤くんに返事しちゃったよ…今の爽やかじゃなかったよ!?やべえやべえ。
いや、大丈夫。
平然としとけば大抵のことは何とかなるよな、うん。
真顔でヤンキーが虜とか言うのにも驚きだわ。必死かおい。
「先生はカッコイイけど、俺は女の子が好きだから安心して…あはは…」
「なんだ今のキャラ変は」
「ん?何が?大丈夫大丈夫。聞き間違いじゃない?何のことか俺にはさっぱりだよ。ほら斉藤くん、授業に集中しよう集中!集中集中!」
半分修造的なノリで行けば大丈夫だろうと思ったけど、普通に考えて大丈夫なわけがない。
爽やか以外の話し方の時は小声で喋ってたから今までバレなかったけど、小声で斉藤くんに文句言っちゃったよ。
完全に喧嘩ふっかける時のトーンだよね。
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