シンデレラは眠らない

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「なんだよ奏さん。すごい似合うじゃん」 「伊織もすごく似合ってるよ」 「うわぁ…全然嬉しくねぇ…」 着るのは嫌だよ。嫌だけど、皆(主に女の子)が頑張って作ってくれた衣装を嫌がるなんてこと出来ないよね。 奏は本当、よくアニメで見るようなコテコテの王子服なんだけど、すごく綺麗に着こなしてる。 滲み出る腹黒さは隠しきれてないけど、それでも王子としては充分だ。 俺が着れば…もっと爽やかで素敵な王子になれたんだろうけどね!残念ながらこれでもかってくらいビラビラの付いたドレスだよ! しかも何か…想像してたのと違う。 「何で俺のはこんなにポップなの」 「作り手の趣味趣向じゃない」 とんだ趣味だね! シンデレラって、姫界の中では一番謙虚で一番おしとやかで一番綺麗なイメージあったんだけど。 何でこのドレスミニなの?怖いんだけど。 歴代の姫にこんな破廉恥な格好するやついたの?現代でもいるかどうか不安だぞ。 しかも後ろ側だけ床に着くくらい長い。 「市川くんも前川くんもすごく似合ってるね」 「あは…は、ありがとう…」 「足綺麗!すごい細い!」 「そうかな…」 「ねえ!当日、足の毛剃ってきてよ!もっと綺麗になれるから!腕も!」 「う、うーん…うん、はい…」 何故だ!何故俺はこんなにも従順なんだ!? いくら爽やかでも断っても全く問題ない頼みなのに!そうか!これが美女パワーか!? 奏も剃ってほしかったのか、女の子と喋ってても怒ってない。 奏が邪魔しない時って、俺の苦行が始まる時だけだよね。悲しくなってきた…。 へるぷみー。
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