シンデレラは眠らない

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試着しただけなのに、カミソリを買う使命が出来てしまった残念な俺。 まあこれは文化祭の前日までに買えば良いとして…。 今日は練習無しで帰れることになった。 「久しぶりに早く帰れるね。今日は時間あるし…何か凝ったものでも作ろうか」 「4人分の材料費がかかること忘れるなよ」 「…ラーメンとかどうかな」 「今日は魚の気分」 「ほーい…」 ラーメンも悪くないよ? どのお店でも売ってるし、もう日本のソウルフードと言っても過言ではないよ? なんて、小さな反抗心は飲み込んだ。 「あ、バターソテーにしようか」 「ホイル焼き」 「ほーい…」 めんどくせぇもんぶっ込んできやがったな奏様。 ホイル焼きだって!! 前に1回作った時は美味しそうに食べてたけども!何も4人分用意しなきゃいけない日にリクエストしなくても…! 明後日から2人分で良いのに…。 「4人分のホイル包むの…ちょっとめんどくさいなぁ…あはは…」 「ん?何?キスしてほしいって?しょうがないなぁ」 「ちょ、ちょ!ここ外!分かった作るよ!作るから!」 帰宅路でとんでもない空耳ネタするんじゃねえよ! またあちこちでフラッシュが見えるよ腐女子の会…!ここまで来たらストーカーだよ!? 「サービスショットだったのに」 「わざわざ腐女子に見せ付けなくて良いでしょ!」 「何だ…2人っきりの時が良かったの?可愛いなあ伊織は」 「もうやだよこの人変なスイッチ入っちゃってるよ…」 こうなった奏を避ける術は1つ。 全力ダッシュでマッハゴーゴーだ! 「…HERE WE GO!!」 ちょっとおヒゲの生えた真っ赤な服の配管工おじさんの真似でもすりゃ逃がしてくれるかな、なんて淡い期待抱いてたんだけど。 「どこ行くの伊織。しばらく立てないくらい犯してほしいの?」 「すみません痛いですもうしません二度としません離してくださ痛い痛いごめんってば!嫌な音してるよごめんなさい!」 いつも通り、腕を鷲掴みにされて終わった。
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