シンデレラは眠らない

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腹立つことに、奏のリクエストは冗談じゃなく本気だったようで…本当にホイル焼きの材料を買わされた。 4人分の食費は痛いなぁ… 俺と奏と橘だけで良かったのに…何か、吉野くんも着いてくる流れになったのがお昼休みの終わり頃。 傷心中の吉野くんの話とか出されたらさ…断れないよね。 何であんなにうるさいピーなんか好きになったんだとか、ちょっと突っ込みたいところだけど…思い出し泣きが凄まじいらしく、橘からあの件の事全て禁句指定された。 なんだかんだで仲良くやってるらしい2人に安心したけど、それとこれとは話が違う。 「週1でいいからカップ麺挟んでもいい?」 「…俺は食費払ってるだろ」 「お、俺が目の前で寂しくカップ麺を食べててもいいのか!?」 「上手におねだり出来たら、奢ってやらんこともない」 鬼畜め… 俺は何でこんな冷淡な奴と友達なんだ…! 晩ご飯カップ麺計画は早くも崩れさり、もう残された道はあとひとつ。 普通に生活して、お金が足りなくなったら苦行だと思って断食する! 苦行に耐えれば仏になれるんだ。仏になればご飯なんて俗世のもの食べなくても済むはず…きっと…。 そして仏になったら、俺に食べものの慈悲をくれなかった奏に天罰を下すんだ。勝手にキスしたり、彼女作りを阻止した天罰も下すんだ。 「天罰を…」 「どうでもいいけど口から出てるからな。俺への恨みが」 「サーセン…」 鬼の形相で見られたら、仏候補の俺もビビっちゃうよね。これも苦行の一つかな…はは。 俺、結構この苦行に耐えてる気がするんだけど…いつになったら仏様になれるんだろう。 あと何回頭をカチ割られそうになったら良いのかな…あと何回腕をもぎ取られそうになれば…。 ダメ、考えただけで涙が出そう。
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