シンデレラは眠らない

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「いよいよ今週末ですね、文化祭!」 「そうだね。吉野くんは…焼きそばだっけ」 「はい!必ず来てください!これまでのお礼に奢ります!」 なんていい子なんだ吉野くん…。 ゼリーまで買ってきてくれたのに、更にご馳走までしてくれるなんて…! 1日分の昼食は浮いた さすが、持つべきものは後輩…! 「先輩達はシンデレラですよね。しかもお二人とも主役!俺、絶対見に行くんで頑張ってください!楽しみにしてます!」 「ただの劇だよ…そんな…楽しみにすることじゃ」 喜びからの苦行リターンズ…。 そうなんだよな…あのポップな衣装を着るの、もうあと数日なんだよな…。 しかも土日両方で、2回もポップにならなきゃダメだなんでさ…マジで辛い。 あの衣装絶対女の子が着た方が可愛いし、王子の衣装は絶対俺が着た方がいいと思うんだ。 そしてそのまま文化祭カップルとして有名になって、付き合って…ラブラブになって、モテ街道まっしぐら。 あ!あの人、王子役の人だよね! そうそう!超かっこよかった! 彼女羨ましいなぁー。 彼女を大事にするところも、すごく良いよね! 私も市川くんみたいな彼氏ほしいー。 みたいな。噂の的になるんだ。 いや、バカみたいな妄想だってのは分かってるよ。 その証拠に、俺の脳内をスキャンする不必要な能力を持つ奏さんのお箸が…手の甲にグサグサ刺さってるしね。 「奏、ちょっと痛いかな」 「ああ…豚足かと思った」 豚じゃねえよ! これでも日々の体力作りは欠かしてないし!栄養管理も万全だし!健康的でスレンダーな色男なのに…! …妄想すら許さない束縛男は怖い。 ちょっとくらい良くね? 何、奏で妄想すりゃいいの?これからの妄想は奏が相手じゃないとダメな感じ? そうなると俺のメンタルが崩壊するんですけど!
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