シンデレラは眠らない

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奏で妄想…。 ダメだ。今の俺には壁が大きすぎる。 何言っても殴られるか、殴られるか、殴られるかの結末しか出てこないや…。 「美味かった。ごちそうさま」 「お、おう…」 奏は何も無い時は優しいんだけどなぁ。 食べてる時は無言だけど、最近は食後に感想をくれる。美味しかった時だけ。 …美味しかった時だけ。 「あの、俺洗うんで!先輩は座っててください!」 「いいから、食ったら早く帰れ」 まだ食事中の吉野くんを蹴散らして、奏は皿を洗い始めた。 俺も食べ終わった食器を渡しに行くと、適当に置いとけとだけ話す。 これは奏の優しさなのか…それとも皿洗いをさせる時間を省いて、二人っきりの時間を増やそうとしているのかどっちだ…!? いや、まだ二人になるのは早い。心の準備がまだだ。 今日はいろいろありすぎて、鬼の奏に今夜覚えてろよ的なことをたくさん言われた気がする。 奏自信がそれを忘れてる時もあるけど、今日もそうとは限らない。 そこで俺は試しにマジックカード、ゼリーを発動してみた。 「吉野くんに貰ったゼリー、デザートに食べようか」 どうだ魔王! と思って振り返っても、奏は黙々と皿洗いを続ける。 おお…これは忘れてるっぽい!やったぞ母ちゃん!明日までは生きられるよ!! 「奏も洗い終わったら一緒に食べようね」 「みかん」 「分かった。置いとくね」 これは最高のシチュエーション! 命も守られ、再確認のために話しかけても大丈夫そう!しかもみかんの一言だけ返すあたり、ちょっとテンション上がってんじゃないの!? 「ごちそうさまです!」 「ごちそうさん」 2人も食べ終わり、珍しく後輩もいる中雑用をする奏だけがキッチンに残った。 半分くらい食べ終わった時に、奏もデザートを食べ始める。 吉野くんがちょっとお高めのゼリーをくれたおかげか、奏のテンションもちょっと高い? これは、今夜も無事に乗り越えられる予感…! ありがとう吉野くん!ありがとうゼリー!ありがとう神様!!
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