シンデレラは眠らない

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でも、俺の読みはだいたい外れるってことを自分でも分かってなかったのを忘れてたよね。 「ごちそうさま。ほら、さっさと帰れ」 「あれ、奏…どこ行くの?」 「風呂」 「えっ…」 俺の襟首を掴みながら、当然の如く風呂場へ向かおうとする変態のせいで変な汗出てきたよ? あ、そういう事ね。 みたいな顔して2人は本当に出ていっちゃうし!なんなの!俺はそういう趣向はもってないから!! 必死に踏ん張ってるのに、脱衣所まで連れてかれた俺。 「か、かな、奏さん…何して」 「風呂だよ。男同士で何意識してんの」 「男同士なら大丈夫だけど奏とは大丈夫じゃないもん!」 脱衣所の扉は全開。 そこに手を掛けて、これ以上奥に連れていかれないようにしっかりホールドした。 奏はすごく器用に、片手は襟首を掴んだまま…服を脱いでいく。掴む手を交互に変えて。 「いい体してるね奏さん。鍛えてるの?」 「うん。早く入るよ」 返事めちゃくちゃ適当じゃん…!! 嫌だ嫌だと叫んでみても、奏には罪悪感の欠片も生まれない。 今ものすごく暴れたいけど、この手を離したら一瞬の隙に奥地へと引っ張られそうで怖いし…! 「伊織」 「………っ」 かと思えば、手を離して後ろから抱きつかれた。 強引からのハグ…からの耳元で囁く作戦に、馬鹿な俺は一瞬にして奏の腕の中にいた。 「しまった…!」 力が抜けて…入口を掴んでいた手が離れてしまった。 気が付いた時にはもう遅い。 俺の脳裏に諦めの文字が1000個は流れた。そりゃあもう弾幕コメントのように。 「謀ったな魔王…!!」 「跪け勇者」 ひ、ひざまずけって言った!あの奏が! 振り向くと、すげえ悪い顔で笑ってた。 なんか…そういうノリかなと思って本当に膝付けちゃった事が俺の敗因かな。
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