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「なんで風呂なの」
「気分」
「ああ、そう…」
さっきまでの恐怖とは打って変わって、なんか…普通。
普通に服を脱がされて、普通に風呂へ連れ込まれた。
だからといって何をされるわけでもなく…頭を洗ってもらった。
心に不安を抱いた出来事を上げるとするなら、何で俺の体ってこんなにもたるんでいるんだろう。
うん、それだけだったね。
「家で腹筋でもしてんの?何でしっかり割れてるわけ?顔だけ見たらヒョロっこいのに」
「何で筋トレしないの?伊織は完璧を目指してるくせに…たるんだお腹だね」
笑顔が心に刺さった瞬間だったね…
しかも爽やかな俺の話し方まで真似してきたもんだからダメージは2倍だよね!奏も笑ってればいい顔してるし…俺よりイケメンかもしれない。
お腹を優しく触ってくるあたり、悪意のある爽やかだったけど。
「なに…俺の体の不甲斐なさを笑うために風呂入ったの?」
「いや、久しぶりに裸見たいなと思って」
俺の体を洗ってくれてる奏と、鏡越しに目が合った。
そりゃあもう、見たことないくらいの笑顔だったよ。満面の笑みってこのレベルの事を言うんだね的な?
イケメンの変態だったら、もしかしたら許してくれる女の子もいるかもしないけどさ、俺男じゃん?
お互いちんこ付いてるじゃん?
俺の方がちょっと小さいかも的な低レベルな事を考えてた矢先の変態発言はびっくりするよね…!
「そうか…分かったぞ魔王!」
「次魔王って言ったら犯す」
勢いよく立ち上がったはいいものの、すぐ座り直す俺を許して…。
「めげない泣かない挫けない…!!」
「もう泣いてるよな」
「そこには触れないで…!!」
クスクス笑いながら、優しく洗ってくれる。
なんか子供の頃を思い出すな…くらいには身体中モコモコ。しかも泡で洗ってくれる女子力の高さ!
素手で洗ってくるから何すんだってビビったけど、泡で洗う気持ちよさを教えてくれた奏に感謝。
次から自分でやろう!って思っても、出来ないだろう泡の繊細さ…。
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