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暫くテレビを見て、ベットに横になった俺達。
奏は変わらず壁際を陣取る。
「何もしないからこっちおいで」
「…うん」
めちゃくちゃ狭いから、また素直に抱き枕にされるけど…奏は本当に何もしてこない。
してほしいわけじゃないよ!?
ただ、他の男と話してるだけで魔王になるくらい好きな子と一緒に隣で寝てたらさ…めちゃくちゃムラムラするじゃん普通。
なのに奏の股間は何も無い。
何かあったら困るんだけど、何も無いのも不思議だ。
もしや…たたないとか。いや、そもそも俺にはそういう恋愛感情なんかじゃなくて、めっちゃ好きな友達くらいにしか思ってなかったんじゃないか…?
わぁ…名推理だ俺。
毎日いろんな人と夜を共にしてる斉藤くんでさえ、何も考えてない俺に条件反射でぶったててくる男だったのに、何も無いってことはそういう事だ!
俺だったら好きな子と添い寝したらたつもん。うん。
「おやすみ伊織」
「うん、おやすみ奏」
疲れていたのか、ほんの数分で寝息をたて始めた奏が急に可愛くなってきて、ギュッと抱きしめて眠った。
今までのは強い友情だったんだと分かれば、今まで全く思わなかったのに奏が可愛く見えてきた。
今は添い寝したりキスする友達もいるんでしょ?なんかどっかで聞いたことあるし…多分あれだ、友達以上恋人未満的なやつだ。
友達以上(親友)恋人未満(親友)…これだ!
きっと嫉妬してるのは、友達を奪われたくない!ってやつで、俺が彼女を作ったら一緒にいる時間が減るから寂しいんだ。
奏は友達少ないもんな。
むしろ俺だけしかいないんじゃね?くらいの勢いでいないもんな。
中学は一緒に遊んでた仲間がいたけど、高校からは知り合いなんていなかったもんね。ピー以外。
「俺が奏から離れるわけないのに」
奏の気持ちが分かった途端、フッと肩の力が抜けて睡魔が襲ってきた。
俺はそれに抗うことなく、奏の胸に顔を沈めて眠った。
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