シンデレラは眠らない

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「おはよ…」 吉野くんが来ても完璧なように身だしなみはばっちり。 キッチンまで着いてきた奏と朝ごはんを作っていると、橘がやって来た。 「おはよう。あれ、吉野くんは?」 「いないけど」 「4人分用意したのに…」 てっきり初日の流れからずっと一緒に食べてたから、来ると思ってたのに…遠慮したのかな。 ちゃっかり手に入れてた吉野くんの番号に電話すると、この電話で起きたのか気だるそうな声がした。 いつも元気な吉野くんの珍しい一面。 「もしもし、吉野くん?おはよう。うん、朝ごはん一緒にどうかなと思って。…え?大丈夫?うん、大丈夫だよ、また学校でね」 こ、断られた…! 爽やかになってから誘いを断ったことはあっても、断られた事なんて無かったのに…!!! 「吉野くん…体調悪いって」 「一生誘うな」 「それはどうかと…」 最終日だから手抜きじゃなくて豪華な朝ごはんにしたのに。 仕方ないと人数分だけ出して食べ始める。 「吉野くん学校は来るって」 「うん。知ってる。仮病だろ」 「え…ショック」 淡々と返事をして黙々と食べる橘の機嫌もどこか悪く感じるんだけど…喧嘩でもしたのかな。 見た感じ殴り合った形跡もないし…口喧嘩か?あの喧嘩バカ代表みたいな橘が…口喧嘩?いや、ないな。ないない。 あ、でも強い奴と喧嘩するのが好きなんだっけ? それにしても男同士で口喧嘩なんかするかな。するといえばするけど…殴った方が早いよな。 「うん、早いな。殴った方が早い」 「伊織。口から出てる」 「すみません」 たちばなが ふしぎそうに こっちをみている。 わらう ごまかす →めをそらす 美味しいなぁ…俺の朝ごはん。
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