委員長のお仕事

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___________________ 「おい。お前の所為で伊織が変な風に勘違いしただろうが」 「変な風に?そのままの意味だろ」 こいつ…どこまでも気に食わねぇ奴だ。 斎藤を起こしに行って…どれくらい時間が経ってた? 今日は1人で寝てたが、それを蹴飛ばして無理やり起こした事で、軽い喧嘩になった。 『いってーな…誰だよお前』 『いいから早く用意しろ』 『……昨日の奴か?市川はどうした』 『お前には関係ないだろ』 こんな言い合いをして。 それでも、学校へ行く気はあったのかダルそうに用意を始めた。 ベッド付きの1Kマンション。 こいつの部屋にはソファも無いからと、ベッドに座ってボーッと待ってたら、ピタリと斎藤が止まった。 『思い出した。前田だっけ』 『いいから着替えろ』 『んだよ…つれねぇな』 人の名前を思い出すのにどれだけ時間かけてんだ。……それだけ学校に来てないってことか。 そんなのはどうでもいい。俺には関係無いことだったし。 それなのに…伊織がこいつの面倒を見る事になったのが気に食わない。 昨日、斎藤を起こしに来た時。 伊織は女の方ばっか見てたから気付かなかっただろうが、枕元に置き手紙があった。 数日前の物だろうが、斎藤の部屋は汚いし…ゴミもそのまま。 だからその手紙はそのままあったんだろう。 委員の仕事があるから、先に出ますって内容の置き手紙。 名前を見てイラっしたのを覚えている。 隣のクラスの委員長。何回か仕事で会った事があるから名前は知っていた。 そいつの名前が手紙に書いてあったんだ。 木下 悠馬。もちろん、男。 だから伊織には近付かせないようにしようと、今日は俺が起こしに来たのに。 何で、ああなったのか。
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