プロローグ

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_____________________ 「俺、爽やかになる!」 「急に何?」 「だから、俺…爽やかになろうと思うんだよ。どうせ高校に行くなら、モテ人生がいいだろ?」 「は?」 で、俺は相談してみたワケだ。 中学に入ってすぐに意気投合して、仲良くなった前田 奏(まえだ かなで)に。 黒いサラサラヘアで、髪型は爽やかっぽいが…目力あるし、性格も全然爽やかじゃなくて、キレると手が付けられないタイプ。 要するに、爽やかとは真逆。 奏は俺と一緒にヤンチャしてる友達で、喧嘩もけっこう強い。 そして、頭も良い。 勉強してないはずなのに…。 「奏の志望校ってどこだっけ?」 「特に決めてない。伊織は?」 「決まってんだろ!可愛い女の子がいるとこだよ!」 ああ、そう。と興味無さげに返事をする奏の手を取って、しっかりと目を合わせて微笑んだ。 「真白学園。奏、俺を真白学園に連れてって下さい!」 「………………」 真白学園は、この辺の高校に比べると、そんなに入るのは難しくない。 俺からすると超難関だけど。 外へ遊びに出掛けた時、真白学園の制服を着た女の子を偶然見つけたんだ。 ………息が止まるかと思った。 「真白学園の女の子、顔の偏差値すげー高くない?あそこなら、俺の運命の相手も見つかると思うんだよ!」 「運命の相手って…大袈裟だな」 呆れた目で見てくる奏に、俺はお願いします!ともう一度頭を下げた。 真白学園は、ここからはかなり遠い高校だけど…希望者は寮に住めるって聞いた。 どうせ、見た目をこの金髪から爽やかっぽく暗い色に変えたとしても 地元に帰ると関係ない。 ここでは、不良の市川 伊織としてのイメージがもう付いてるんだから。 それなら、地元に帰らずに寮に住んで…楽しんで暮らしたいって思うだろ? 「誰も俺を知らない土地で、爽やかとして生まれ変わるんだよ!」 「ふーん…」 この時、もうすぐ中学3年になろうかという季節だった。 受験シーズンを控えた俺は、この時…可愛い子を落とすことばかり考えていたんだ。 「本当に、真白学園に行くのか?」 「当たり前だろ!女の子の為なら嫌いな勉強だって頑張る!」 この、奏の問い掛けの本当の意味にも気付かずに…
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