1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
隣に座った。
そこから、沈黙。
えぇぇぇぇぇ。何で沈黙なんですか…無言の圧力ほど怖いものは世の中に無いよ!
これは、アレか。
俺が先に謝ればいいのか。
俺が何を言いたいか分かってるだろ?的なやつか。
あああああ…どうしよう。どうやって話を切り出そう。
斎藤くんと付き合ってること、奏から聞いてないけど…奏が怒ってる理由は絶対それだよね…!
よし。
漢、市川 伊織!いざ、出陣!
ぷぉおぉ~。
ちょっと情けない法螺貝の音を頭の中で流して、俺は奏の目を見つめた。
そして、頭を下げる。
「ごめん!奏が斎藤くんと付き合ってるなんて知らなくて!邪魔した事、本当にごめんなさい!」
俺がそう叫んだ後…シーン、と。また静かな空間が広がった。
どうしよう。やっぱり奏ビックリしてるよね。理由を言い当てられたんだから。
きっと奏は、男と付き合ってる事が言いづらかったんだ。だから黙ってたのに、俺に感づかれて…驚いてるはず。
「伊織………」
ずっと頭を下げた状態だったけど、少し震えた奏の声で顔を上げた。
驚きで震わせてるのかと思ったけど…そうじゃなくて。
何かさっきよりも怒ってる様に見えるんですけど…!?
「あ、あれ…?違う…?」
「どうせそんな事を考えてるんだろうなとは思ってたよ」
伊織はバカだから。と言った奏は、両手で俺の頭を挟んだ。
そこに物凄い力を入れて。
「痛い割れる!頭が割れる…!」
最初のコメントを投稿しよう!