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「それ以上反抗してみろ。ここでキスするぞ」
俺の隣で、ひっそりと耳元でそう囁く奏にビクリと体を震わせる。そして足が痛い。
めっちゃ足の甲グリグリされてるんですけど…
「ううん、いいの。ごめんね、無理言って…」
恥ずかしそうに顔を赤らめる女の子。本来なら、無理やりにでも俺は女の子と遊ぶ道を選んだだろう。
背後に忍び寄る大魔王からの、足を踏み続ける攻撃が無ければ。
「ごめんね奏、実はさっきから足…踏まれてるんだけど」
「ああ、ごめん。気付かなかった」
こいつ…思ってないくせに!絶対腫れてるよこれ!ほんともうこの人どっか行ってくれないかな。
なんで副委員長になってくれってお願いしたんだろう。
奏がここに居なければ、今、確実に俺の修学旅行は素晴らしい思い出になっていたはずだというのに…。
「修学旅行…楽しみだな」
「そうだね。いっぱい楽しもうね!」
嫌味を言ってくる奏に対しても、皆が居るこの場では爽やかキャラを崩せないことにこんなに腹が立ったことはないよ。
どうやら奏は本気で俺を落としに来ているらしい。全力の束縛というオマケ付きで。
これからは、隠れて女の子と話す機会を作ろう。俺は彼女が欲しい。彼女が欲しいんだ!
「俺以外と過ごすなんて許さないから」
またもや耳元で囁いてくる奏に、ちょっぴり泣きそうになったのは秘密である。
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