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「おはよう」
目が覚めると、真っ白な部屋にいた。鼻を突く薬品の匂いに、眠る前の事を思い出して…ここが病院なのを知る。
隣に目を向けると拓海がいた。
「無事…だったんだ。良かった」
「良くないよ。伊織は死にかけたんだから」
心配してくれたのかな。それがそれが嬉しくて笑うと、肩口に激痛が走った。痛すぎる…。
小さく唸ると、動くからだなんて優しくない言葉をかけられた。まあでも、マジで死ぬかと思ったくらい痛かったし、生きてるだけマシかも。
「伊織を撃った奴、ポチが消しといたから安心して」
「逆に安心出来ないんですけど…!?」
消すって何よ。また山に捨てに行ってないよね?俺のせいで埋められてるなんてことはないよね!?
拓海の家、表では大企業の社長とかなのに…裏でやってることがえぐすぎて安心できないんですけど。
「変な妄想しなくても大丈夫だよ。今頃警察だから。芋づる式に捕まるでしょ」
「あ、それなら安心…」
安心したら一気に痛くなるなあ肩。拓海によれば、あと数センチで心臓をぶち抜かれてたらしい。超恐ろしい。
あの時はそりゃあもう、ドラマみたいに華麗にお守り出来るかと思ったんですけど。全然ダメだったなあ。現実は思う通りにいかないもんなんだね。
「肩、傷が残るだろうって」
「全然大丈夫!傷は男の勲章ってやつだから!」
「そう。高校生になっても馬鹿は治らないんだね…能天気なとことろも、無茶なところも。君は究極の馬鹿だったもんね」
「拓海は言葉の節々にトゲがあるの、変わってないね…」
「俺は無意識な馬鹿とは違うの。わざとだよ」
それもどうかと思いますけどね…!って言葉は丸飲みした。これ以上反抗したら、押しつぶされそうなくらい毒吐かれそうだし。
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