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「もし、また何かあったら言えよ。俺、けっこう暇だし」
「暇つぶしに命懸けるって頭イカレてるね」
「そういうところだぞ!その棘に皆が傷付くの見て、翔も真似し始めたんだからな!」
「翔は俺と一緒で頭良いから、コスパの良い傷付け方を身に付けたんだろうね」
「コスパて…」
暴言にコスパとかあるの初めて知ったんですけど。頭の良い奴は皆そうなのか。いや、こいつらは腹の底が黒く濁ってるからだ。
でも拓海も翔も根は優しいから、濁ってんのは表だけかもしんない。今もこうやって、いろいろあったのに…俺の看病もしてくれてたみたいだし。
「冗談じゃなくて、本当に、何かあったら言えよ!死ぬとかそういうの無理だから!」
「分かってるよ…ありがとう」
超絶イケメンスマイルのありがとうの破壊力…恐ろしいなおい。ツンケンしてると思ったら、急にデレるから怖いんだよこの王子。
全部許しちゃうんだよ。かっこよすぎて。
さすが、初代爽やかなだけあるな。けっこう乱暴な遊びばっかしてたのに、まあ俺にも数人はいたけど…拓海は毎日のように女の子に告白されてたもんな。
爽やかの破壊力を初めて知ったのは、拓海のおかげだ。身近にいたからこそ、俺は立派な爽やかになれたんだから。
「師匠と呼ばせてくれ!」
「急に何。キモイんだけど」
デレ期瞬速で終わるのやめてくんないかなあ。拓海は奏と違って、どんな時も俺らのノリには着いてきてくれない。
正直言って寂しい。
「俺、拓海と離れたのが寂しくて、拓海になろうとしたんだよ。なろうとっていうか…真似。すごいモテたわ…」
「知ってる。裕翔から聞いた。学校で猫かぶってるんだよね?馬鹿みたいに」
「爽やかキャラはモテるってのが少女漫画の鉄則じゃん」
「そんなのに踊らされてるからいつまでも彼女出来ないんだね可哀想」
一言一句、全部心に突き刺さるわあ…。言葉ってこんなに鋭利になるのかあ…辛いわあ…。
爽やかで超イケメンだったら、これくらいの棘は許されるんだよな…恐ろしい。俺がしたら、多分調子乗んなってハブられるやつだわこれ。
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