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「あと、今週中には退院出来るらしいよ」
「銃痕ってそんなすぐ治るもんなんだ?」
ドラマとかだと、しばらく入院したりするのに…現実とドラマの差が激しいなあ。
入院したいわけじゃないし、早く遊びたいから、超ありがたいけど。肩がすげー痛いのは気の所為だって事にするしかないよな。
「でも多分、今俺が殴ったら傷口開くから。無理に動こうとしないでね。殴られたくなかったら」
「脅しのジャンルが奏さんと一緒すぎてこえーんだけど」
何かの代償に痛みが伴うのは、本当にやめていただきたい。心身ともに傷つくから。それはもうエグい傷になっちゃうから。
そんなこと言っても、腹黒魔人の拓海には効くはずもなく。それからの会話もずっと、チクチクと突き刺さるトゲトゲトークは永遠に続く。
「そういや、拓海はもう大丈夫なのか?怪我とか」
「今更?もう治ったよ。伊織が呑気に寝てる間に」
「すみません…」
頬は少し腫れてる感じはするけど、見たところそれほど気にするような感じでもない。本当に今更なくらいで聞いちゃうほど普通にイケメン。
あの時は殴られて、口から血が出てるように見えたけど…治ってる。ちょっとカサブタは出来てるけど。
「奏がね、あの時言ってたよ」
「何を?」
「友達との距離は、せいぜい金を貸すくらいだって」
「なんの話だそれ」
まあお金の貸し借り出来るくらい仲いい奴らはいるけど…。急に距離感の話をされても、全く意味が分かんない。
お金貸してってことか?俺今、手持ちあるかな…てか入院費でお母さんに猛烈な圧迫かけてる気がするから、お金に余裕無い気がするけど…。
なんて思ったのは大きな間違いらしく。
「友達相手に命を懸けることはしないんだって。出来てもお金を貸すくらい。だけど、伊織が奏のために命を懸けたのは何でかなって思っただけだよ。気にしないで」
「哲学的な質問かなそれ…」
「……ミジンコ以下だね」
酷い。素直に酷い。言葉だけならまだしも、顔がもう…ゴミを見るような目で見てくるよお母さん助けて!
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