1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
しっかりと、お医者さんからの復讐を兼ねた威嚇みたいに、ちょっと痛めに治療をされた俺。
暴れすぎて、美人の看護師さんにも、お医者さんにも、わりと普通に怒られた。次やったら強制退院だからとまで言われた。めっちゃ謝った。
「ね?だから、今しか出来ない話だって言ったでしょ」
落ち着いてから戻ってきた拓海に言われて、そういう意味だったのを初めて知った。
ちなみに、翔も落ち着いてから戻ってきた。暴れるのを見越して、病室の前で待機するなんて…と恨み言を呟く裕翔には誰も見向きもしない。
よく出来た友達だ。
「それで拓海は、もう大丈夫なのか?」
「うん。元からそれほど怪我もしてないし。二度と立ち向かえないように躾しておいたから、もう大丈夫だと思うよ」
サラリと笑顔で言う内容にしては…ちょっと濃すぎる気がするんだけど。俺たちの中で、一番敵に回しちゃいけない。
1回敵に回した俺が言うんだから間違いない。
「あのさ、伊織。俺が言ったことは全部本当だからね」
「何だよ急に…まだ怖い話続けるんだったら、失禁する覚悟が必要になってくるから止めて頂きたいのですが」
「馬鹿なの?」
イケメンに真顔で罵られたら、新たな扉開いちゃう人もいるから気を付けた方がいいって言うべきなのかな。
俺は魔王のおかけで、暴言と暴力耐性は日頃からある無敵マンだからいいけどさ…ちょっとは落ち込むぞ!
「ま、とにかく。ごめんね。伊織は何も気負うことないから。俺のせいで何年も…苦しませてごめん」
「…俺も、ごめん。何年も苦しんだのは拓海も同じだろ。俺よりもっと…」
「伊織はいつまで経っても人のことばっか考えてるよね。ま、そこがいい所なんだけど」
改めて言うと、ちょっと恥ずかしい。けど、心の重荷がスっと無くなって…一気に晴れたような、そんな幸せな気分。
2人で笑いあって、昔の楽しい思い出を語り合って。本当に心から打ち解けれた。
こうして、俺達の長い喧嘩は終わった。
最初のコメントを投稿しよう!