ふゆやすみ

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この病室は大部屋だけど、俺が暴れ回ったせいか…今は奏と二人きり。 あの騒がしい奴らが帰ると、途端に静かになった。 「傷はどう」 「ちょっと痛いけど、大丈夫。奏は?」 「伊織を見てると目眩がする」 それ、本当なのか冗談なのかどっちなの。また倒れられたら怖いから、目眩系の冗談は退院するまで控えて欲しい。 聞くところによると、血まみれで最後の言葉的なものを残して気絶した俺を見て、奏も倒れたらしい。 外傷はないものの、俺の目が覚める直前までは眠り続けてて、医者もお手上げだったそうだ。原因が分からないと。 だけど呑気な俺の仲間は、奏が目覚めたのを見て、そろそろ伊織も起きるんだろうなと謎の察知をし…裕翔が寝起きドッキリ的なものを仕掛けたのが事の発端。 『伊織が死んだら奏も死ぬぞ』 と、笑顔で裕翔に言われて、何かイラついたからトドメの一発を喰らわせたのを思い出す。 「奏、目、覚めて…良かった、な」 「何でそんなカタコトになってんだ」 「偶然だよな…とか考えたらつい、」 奏が目覚めなかったのは、きっと。きっと、偶然だよな?医者でも見付けられない何かがあって…。俺のせいで倒れたってことはないよな? 普通に考えて、俺が死んだと思ったからといって、自分も死なないだろ。気絶とかは、あるかもしれないけど…目覚めないなんてこと。 なんて思ってたのを、どんな恋愛ドラマだよって、自分でツッコミ。奏の愛は重いけど、確かに重いけど…もうちょい明るい感じの重さだし。 なんて悶々と頭を抱えていると、奏が答えてくれた。さすが親友。俺の考えてることはお見通しだ。 「伊織が死んだら、俺も消えるつもりだったよ」 「………それは、」 「冗談だよ。そんな想像…するだけ無駄だし」 笑ってるけど、これは明るい感じの重さとして受け取ってもいいんだよな!?だってほら。お互い生きてるし。 それで…いいかな?いいよね。
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