プロローグ

4/5

1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
************ 「ねぇ、市川くん。ここの問題が分からないんだけど…」 「ん?あ、ここはね…この公式を使って、こう解けば…ほら、出来た」 「私、こんな簡単な見落としをしてんだ…ごめんね、ありがとう!」 満面の笑みで、女の子からの質問に答えてあげる俺。 金髪の髪は薄茶色に染め直し、爽やかっぽく首が見えるくらいの長さに切って、ワックスとかは付けない。 制服も着崩すことなく、上までボタンをきっちり締めて、ネクタイを綺麗に結んで… そして、爽やかくんが出てくる少女漫画を全て読みまくり…今の俺は完成した。 そう、俺は必死に猛勉強して…真白学園に受かったのだ。 そりゃあもう、先生も両手を上げて喜ぶレベルの快挙だった。 俺、すげー頭悪かったし。 受かってからも勉強を毎日必死でやって、今では学年次席の頭脳にまで上り詰めた。 そして首席はというと… 「伊織、顔が緩んでる。爽やかじゃないってバレるぞ」 そう、奏。 テストでほぼ満点取る奴に勝てるワケがねーんだよ。 ちょっと悔しい。 そんな俺の気持ちも知らず、後ろの席から耳元でそんな事を囁いてくる。 奏ならもっと家から近くて頭の良い高校に行けたはずなのに…何故か俺と一緒に真白学園を受験した。 「だってあの子可愛くね?おっぱいも大きいし…マジ最高」 初歩的な見落としをしてたからか、俺の笑顔に落ちたからか…どっちかは分からないが、顔を赤らめて帰っていく女の子を見ながらそう言った。 爽やかって、本当にモテる。 本当にモテるんだけど… 「なのに、何で女の子の校舎は離れてんの…?マジで鬱になりそうなんだけど…!」 そう、この真白学園には校舎が2つに分かれてるのだ。 1つは北校舎、俺たち男だけしか居ない…むさ苦しい男の巣窟。 そしてもう1つが南校舎、可愛い女の子がいっぱい居る夢の花園。 何で分離されてるかはわからないけど、本当に、本当に…鬱になってもおかしくない環境。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加