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「ねぇ、市川くん。ここの問題が分からないんだけど…」
「ん?あ、ここはね…この公式を使って、こう解けば…ほら、出来た」
「私、こんな簡単な見落としをしてんだ…ごめんね、ありがとう!」
満面の笑みで、女の子からの質問に答えてあげる俺。
金髪の髪は薄茶色に染め直し、爽やかっぽく首が見えるくらいの長さに切って、ワックスとかは付けない。
制服も着崩すことなく、上までボタンをきっちり締めて、ネクタイを綺麗に結んで…
そして、爽やかくんが出てくる少女漫画を全て読みまくり…今の俺は完成した。
そう、俺は必死に猛勉強して…真白学園に受かったのだ。
そりゃあもう、先生も両手を上げて喜ぶレベルの快挙だった。
俺、すげー頭悪かったし。
受かってからも勉強を毎日必死でやって、今では学年次席の頭脳にまで上り詰めた。
そして首席はというと…
「伊織、顔が緩んでる。爽やかじゃないってバレるぞ」
そう、奏。
テストでほぼ満点取る奴に勝てるワケがねーんだよ。
ちょっと悔しい。
そんな俺の気持ちも知らず、後ろの席から耳元でそんな事を囁いてくる。
奏ならもっと家から近くて頭の良い高校に行けたはずなのに…何故か俺と一緒に真白学園を受験した。
「だってあの子可愛くね?おっぱいも大きいし…マジ最高」
初歩的な見落としをしてたからか、俺の笑顔に落ちたからか…どっちかは分からないが、顔を赤らめて帰っていく女の子を見ながらそう言った。
爽やかって、本当にモテる。
本当にモテるんだけど…
「なのに、何で女の子の校舎は離れてんの…?マジで鬱になりそうなんだけど…!」
そう、この真白学園には校舎が2つに分かれてるのだ。
1つは北校舎、俺たち男だけしか居ない…むさ苦しい男の巣窟。
そしてもう1つが南校舎、可愛い女の子がいっぱい居る夢の花園。
何で分離されてるかはわからないけど、本当に、本当に…鬱になってもおかしくない環境。
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