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職員室に入り、松川先生の机まで行くと、そこには大量のノートが重ねてあった。
「これ。社会科室まで運んでくれないか?鍵は開けてある」
「……はい、分かりました」
1クラス分の社会科のノート運びを押し付けられました。
ちょっとじゃない!すぐ終わらない!いや、終わるけど!めんどくせえ!
松川先生の受け持ちは社会科。そして社会科室は3階の別校舎にある。今、1階。
遠い…!近いようで遠い…!
それでも笑顔を崩さずに引き受ける俺ってホント、ただの優等生。
自分で自分を尊敬しちゃうよ。
無理やり持たされたノートのせいで両手が塞がって…この場を離れるなら奏に連絡入れなきゃ、とか思ったのに出来ない。
もう…この先生、何でも押し付けてくる感じが嫌だ。
「次の授業で返す予定なんだよ。俺は別の用意があるから、悪いけど頼んだ!」
「大丈夫ですよ。暇してましたし」
笑顔を作るのが辛くなってきたぜ…
でもまあ、引き受けてしまったものは仕方ない。
ダッシュで行って、ダッシュで帰って来よう。
てなわけで。すれ違う人全員に爽やかスマイルをお届けしながら、荷物運びをして参ります…
廊下は走っちゃいけないから、出来る限りの早歩きで階段を駆け上がり、渡り廊下から別校舎へ。
基本的には授業は教室でするし、何か理由がないと行くことのない社会科室の周りは昼休みだというのに凄く静かだ。
社会科室の周りにある教室も、特別な時にしか使わない教室だから、まあ当然か。
軽く苦戦しながらも、片手で頑張ってドアをあけ、教卓の上にノートをドサリと置く。
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