委員長のお仕事

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ポケットから携帯を出すと、凄まじい量の着信が。 奏からの鬼電だ…。 とか思ってると、またかかってきた。 超怖いんですけど…! でも、このまま出ないってワケにはいかないし…。 恐る恐る応答ボタンを押すと、ひょい…と携帯を奪われた。 「もしもし?誰?……ああ、この人のこと?伊織ちゃんは俺とデート中だから、また後でね」 えええええええ。 何か突然知らない人に携帯奪われた挙句、勝手に電話に出られたんですけど…! しかも切った! 訳の分からないことを言って切りやがった…!うそだろ。 「あの…」 どちら様ですか?って、そう言う前に、その人はありがとうって携帯を返してくれた。 ああ、どうも。なんて普通に返事を返して、また聞こうとすれば、ネクタイをクイッと引っ張られ 「2年生だよね?伊織ちゃん、何でここに居るの?次は3年の授業だよ?」 そう言われた。 あ、次は3年の授業なんだ… じゃなくて。何で腰に腕まで回してんですか!キモい! 「松川先生にノートを運んで欲しいって頼まれたんです」 「そう…。ねえ、今ヒマ?」 いいえ、超忙しいです。あなたのせいで奏さんは俺を探しまくっていることでしょう。 俺は逃げるか土下座するかの究極の選択肢を迫られているんです。 だから、だから離して…! なんてこと、言えないので。 「すみません、まだやらないといけない事があるので…」 そう、申し訳なさそうに謝って…さりげなく脱出しようとしても、先輩は俺を離してくれそうにない。 「綺麗な顔してるね」 「いえ…先輩の方が、整ってると思いますよ?」 必殺、爽やかスマイルはそのままに、返事をしながら先輩の腕を掴む。 力が強すぎて取れない。
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