プロローグ

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こうやって、女の子と一緒に授業を受けれるのは…週に1回しか無い選択授業だけだ。 好きな科目を選択して、その授業を受けるというもの。 それだけは、女の子もごちゃ混ぜで授業をするから…この、今の時間だけが俺の心のオアシス。 「伊織、今度は顔が死んできてる。爽やかはどうした」 「奏が女の子だったら…俺、喜んで奏に抱きつくのに…!」 「胸は無いけど抱き付いてみるか?」 「遠慮しとく…」 ここ、真白学園はつい数年前までは男子校だったらしくて…いや、今もほぼ男子校だけど。 アレだよ、アレ! ホモがちょっとばかし居たりする。 共学になってからは、すごい減ったらしいけど…やっぱり、ほとんど男と過ごすワケだから、残ってる。 そういう人が。 いや、偏見とかはねーよ? 俺はそんなの興味無いけどな! 奏ならまだいいけ…いや、無理だ気持ち悪い。それなのに他の男となんて…考えただけで鳥肌が立つ。 きっと、男子校に友達が居る人なら1度は聞いた事があるはず。 そういう人が居るってことを。 「俺、何の為にここ受験したのか分からなくなる時があるんだよな…」 「だから俺はちゃんと、本当に行くのか?って聞いただろ」 あんなんじゃ分かるワケねーだろ!ちゃんと説明しろよ! 入学して、このことを知った時…マジで死んでやろうかと思ったくらい落ち込んだ。 可愛い女の子を見た瞬間、一瞬でその気はなくなったけど。 「奏の意地悪。ばーか!あーほ!」 「はいはい。ちゃんと授業受けろよ、爽やかくん」 くそ…そう言って笑う奏を思いっきり殴りたくなってきた。 勉強じゃ負けるけど、喧嘩だったら俺が勝つんだからな…! 奏のあんぽんたん! こんな感じの毎日を送る俺、市川 伊織17歳。高校2年生。 奏とは2年連続で同じクラス。 あの喧嘩に明け暮れてた中学時代が嘘の様に、立派な爽やかになりましたが… 彼女、出来てません。
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