1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
「コタちゃん聞いてよ。可愛い子が居たから襲おうとしたら、別の子に殴られた」
「当たり前だと思うよ」
綺麗な顔してるのに、もったいない。いや…綺麗な顔をしてるから、こういう大胆な事が出来るのかな。
陸は今までに何回殴られたんだろう。
数え切れないけど、こうやって何回も血を流す陸を見てるから、女でもないのに
ハンカチと、救急セットを持ち歩くようになった。
切れた口元に消毒して、絆創膏を貼ってあげてる間に、陸は寝てるし。
この体力の無さはどうにかなんないのかな?
「陸、運ぶから掴まって」
「んー」
肩に担いで、ゆっくりと席に座らせる。
スースー気持ち良さそうに眠る陸を見て、はぁ…と溜め息を吐いた俺は
いつもの光景に慣れすぎて、そのまま隣の席で教科書を広げ…
何事も無かったかのように、授業が始まるまで予習をすることにした。
____________________
「はっはっは!どうだ奏!今日は市川家特製カレーだ!昨日から煮込んでいたんだぞ!」
「うん」
「うんじゃなくて!美味しい?美味しいって言ってよ!美味しいだろ?」
「だから言っただろ。伊織が作ったってだけで、美味しい」
「お、おう…何かそう素直に言われると恥ずかしくなるでござる!」
帰宅後。
街で散々遊びまくった俺たち。
外食もいいかなー、なんて思ってたんだけど、そういや今日の為にカレー煮込んでたんだった!
てな感じで帰ってきた。
いつもと変わらず、特に顔つきが変わる感じも無いけど…本当に美味しいって思ってくれてるのかな?
まぁ、ハイスピードで食べてるから美味しいんだろうけど。
「伊織、おかわり」
「速い!奏選手、これは自己記録を更新する速さなのではないでしょうか!」
「そういうノリいらないから。早く入れろよ」
「はい」
もっと美味しい!て顔で食べてくれたら、俺も作り甲斐があるのになぁ…
黙々と食べるのもアリだけど。
ニコニコしながら食べる奏を想像したらすごいキモいけど!
でも、美味しそうに食べて欲しい。
最初のコメントを投稿しよう!