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「あ、見付けた!市川ー。せっかく同じ部屋になったんだし、一緒に遊ぼうぜ!」
噂をすれば、なんとやら。
俺たちを見付けて走ってきたのは、佐々木くんだった。
「お!佐々木!お前も座れよ。今佐々木の話してたんだよ」
「俺の?なになに?」
ニコニコしながら座った佐々木くんの手には、何故かブーブークッションが。
空気入れて、それを踏んだら汚い方のガチなオナラの音がするっていうおもちゃ。
何でそんなの持ってるの?って聞いたら、後で奏に仕掛けようと思ってるかららしい。
ああ、うん。
言葉が返せなかったよ。
想像したら笑える……なんてこと一切なくて、血の気が引いて行く結果しか想像出来なかったから。
今日で佐々木を見るのが最後になるかもしれない。今のうちに今生の別れをしておかなければ。
「佐々木くん、気を付けてね…」
「え?大丈夫大丈夫!さっき斎藤にやってきたんだけど、あいつ笑ってたぜ?」
その根性は認めるけど、斎藤くんが笑ってたなんて信じられない!
俺なんか斎藤くんと1回も友達らしいこと出来てないんだぜ!?
「このクッションが凶器になったんだよ!やっぱ斎藤には敵わねえよな!」
ははは!って高らかに笑う佐々木くんに、もっと顔が引きつった。
それって、笑いながらブーブークッションで何かされたってことだよね!?ねぇ!?
それなのに何で笑ってるの佐々木くん!バカだから?バカすぎて頭が可笑しいから!?
どうしよう。部屋に戻りたくない。
「佐々木、お前それでよく無事だったよな。斎藤ってこの辺じゃ喧嘩の強さでも知られてるくらいだぜ?」
「喧嘩じゃないって!ちょっと遊んでただけだよ!」
そりゃ喧嘩だったら俺なんか秒殺だけどさー。とか言ってる佐々木くんに、ここに居る全員が思った。
ああ、こいつ、ダメだ。
って。
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