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そこで期待を裏切らないのが、俺の想い人…伊織なのかもしれない。
「あれ?なんだよ、いつの間に仲良くしてんの?丁度いいや!一緒に遊ぼうぜ!」
「か、奏…!?」
この状態を見て、男同士でって考えの一切無い佐々木はじゃれ合ってるとでも思ったんだろうか。
ニコニコしながら、遊びの誘いをしてきた。
対して伊織は、またこんな状態に巡り会ってしまった…とか、また邪魔してしまった…とか、間違ったことを考えているんだろうけど。
「いい感じにギャラリーが増えたな?」
同意を求めてくるように斉藤が俺に問いかけてくるけど、もちろん俺が同意するはずもない。
「さっさと退けよ」
そう一言だけ放ち、身をよじるが…斉藤は全然動かないし、退く気配も全くない。
なに。こいつ何考えてんの?
「せっかく見物人が来てんだし…このまま終わるのは勿体ないだろ?」
そう妖艶に、欲情を持った瞳で俺を見た斉藤は…口元に弧を描き、楽しそうに唇をペロリと舐めた。
そして…もう片手でシャツを捲って胸を弄ってくる。
「なに、お前この状況で退く気ないの?」
「むしろこの状況だからこそ、ってやつだろ」
「俺、敏感でもなければ…嫌いな奴相手におっ勃てれるほど潔い体も持ち合わせてないし。なによりキモすぎて鳥肌しか立たないんだけど?」
ああ、寒気がする。
まあでも…中学の頃の伊織は金髪だったしな…薄目で見たら…アリ…………なわけないな。どう足掻いても斉藤だ。
「伊織、こいつ引きはがして。殴っていいから」
「えっ、え?」
アタフタしてる伊織に話しかけても、ソワソワして動かない。もう…これだからヘタレは。
伊織も斉藤みたいに強引だったら彼女なんて簡単にできただろうに。そういうことが出来ないから、俺みたいなのに惚れられて
無理矢理キスされるんだよ。
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