修学旅行

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「じゃあ次は前田!どんどんいこーぜー!」 そして次は奏の番。 ピンク色のジェンガを抜き取り、尋常じゃないくらい顔が曇った。 何か…恐ろしい内容の指令にでも当たったのか?なんて思ってみていると 「なんて書いてあった?」 て、佐々木くんが奏の手からジェンガを奪った。 「右隣の人と30秒間無言で見つめ合う。なんだ、簡単じゃん!」 指令を読んだ佐々木くんの言葉に、つい俺もビクってしてしまった。 だって…このジェンガは時計回りに順番が回ってて…斎藤くん、奏、佐々木くん、俺で座ってるから。 つまり、奏の右隣は斎藤くん。 「ほら!見つめ合うくらいなんともないだろ!いくぞー、よーいスタート!」 …………………………。 ここは割愛させていただこう! ただ一言コメントを残すなら、それは見つめ合うとは言わない!睨み合うって言うんだよ! てなわけで。 佐々木が引いたのはゲーム終了後に全員分のジュースを買いにいくってやつだった。 ああ、俺もそういうのがいいな。 「市川は何引くんだろうなー?」 で、俺の番。1人だけやけにテンションの高い佐々木くんの声を聞きながら、簡単に取れそうなところを探す。 最初に斎藤くんがズラしてるからね…もう既に難易度高いんだよ。 「じゃあ、これにしようかな」 ツン、て突ついたら軽く動いた白のジェンガを引き抜き、指令を見た。 服を1枚脱ぐ。 「ん?」 思わず出てしまった声。 何か俺だけ地味にハードな指令に当たってない? 服脱ぐってなんだよ。誰得なんですかそれは!男しか居ないのに! てか、服脱ぐならさ…女の子が脱ぐところを見たい。切実に。 「服を1枚脱ぐ…か。ほら、早く脱げよ市川。それとも、脱がしてやろうか?」 「いや、大丈夫…」 肩に手を置いてジェンガを覗き見た斎藤くんは、変態だと思う。 脱がされるくらいなら、自分で脱ぎます。ロンT1枚しか上に着てないから 上半身裸っていう意味の分からない格好になっちゃうけどね! 「汚い手で伊織に触るな」 「いいね!市川!当たりじゃんそれ!あははは!」 ………。なんなのこの3人。奏と斎藤くんは何故かまた喧嘩し始めたし。 佐々木くんは楽しそうだね。顔面に1発パンチ入れたいくらい楽しんでるね。
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