修学旅行

15/30

1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
意味が分からなさ過ぎて首を傾げる俺に、奏は『ほら』と俺の前にジェンガを突き付けた。 「正面の人に………」 そこからは読めませんでした。 ええ。そうですよ。臆病者ですよ。存分に罵って下さい!ぶひぃ! とか、そんなこと考えてる場合じゃないんだよ。 正面の人にキスをする。って指令どうかと思うよ。なんで俺だけこんな指令なの?ねえ!誰か教えてよ! 泣いていいですか! 「い、いや…これは流石に出来ないでしょうよ奏さん」 「ジェンガに書いてあるんだから仕方ないだろ?」 「でも男同士だしさ…」 「前にもし」 そして俺は奏の口を塞ぎました。手で。 何暴露しようとしちゃってんのこの馬鹿野郎は!前にもしただろって言おうとしたよね! ふざけんじゃねーよ。 何もしてねえよ。あれはもう記憶から消し去ったんだよ! しかも何でサラッと他の人の前でバラそうとしてるんでしょうか。 「へえ、お前らそんな関係になったんだ」 「ん?何もないよ。何言ってるんだよ斎藤くん…あはは…」 ダメだ。奏を今すぐ殴りたい。 今、唯一分かってないのはバカ丸出しの佐々木くんだけだ。 「なになに?何の話?どーでもいいけど早くキスしろよ!写メの準備はバッチリだぜ?」 こいつ完全に俺達で遊んでやがるな…? ああ、そうだ。佐々木くんと斎藤くんをフルボッコにすればいいんだ。 記憶がぶっ飛ぶくらい。 そうと決まれば話は早い。 何も話さずにむくりと立ち上がろうとすれば、瞬時に腕を掴まれた。 「伊織、殺気が出てる。何しようとしてるかは分かるけど、それはやめとけ」 「……っち」 「舌打ちしない。爽やかはどこ行った」 奏はいちいち細かいんだよ。俺はな!今を生きているんだ! 奏とキスするくらいなら…俺は友達をフルボッコにするくらいに今を生きているんだよ!
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加