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どうやら、斎藤くんは俺を襲うつもりは全くないらしい。
この部屋には、両サイドに1つずつ2段ベッドが置いてある。
片方は、下に斎藤くん、上に佐々木くん。
で、こっち側のベッドには下に俺で、上に奏。
「お前なら…バラさないだろうと思って…悪いな」
別に襲わないならいいけど…何を?
壁側に居る俺を、斎藤くんは優しくゆっくり…俺を抱き枕にするみたいに腕と足を絡ませてきた。
地味に苦しい。動けない。
「斎藤くん…?どうしたの?」
心配するフリをしながら、ちょっと離して欲しいなぁ…なんて考えてる本心は包み隠そう。うんうん。
斎藤くんは俺の顔を胸元に沈めるようにして、ギュッと抱きしめている。
「俺、1人で寝れないんだ。……それと、暗い場所が苦手なんだよ」
耳元で小さく囁かれた言葉が、吐息となって俺の耳をくすぐる。
何か今、さっき遂行しなかったジェンガの指令を思い出したけど…
空気を読んで何も言わないことにしよう。
てか、そんな怖い顔して子供みたいな事言うんだね。
顔が怖いから全然可愛くない。
「廊下に出ても電気消えてるし…悪いけど、今日は一緒に寝てくれ…」
ああ、ちゃんと1人で解決しようとはしたんだね。
そしたら、廊下も電気が付いてなかったから怖くなって俺のベッドに潜り込んで来たんだ?
これが…これが女の子だったら…!直ぐにでも襲うのに!可愛いのに!
斎藤くんだってだけで全然可愛く感じないのは男だからか!顔が怖いからか!どっちなんだ!
どっちもだな!
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