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「斉藤くん…今日のことを秘密にしてあげる代わりに…ちゃんと学校来てよ。皆、斉藤くんが思ってるほど怖がってないと思うよ」
「お前…いい子ちゃんしてるくせに、そうやって俺を脅す度胸はあるんだな」
「だって、斉藤くんも一緒の方が…きっと、学校も楽しくなると思うんだもん」
そう言って笑うと、斉藤くんは盛大な溜め息を吐いた。
「その理由…嘘だから」
小さく呟いた言葉。
何が?と言葉を返すと、斉藤くんはまた小さく『学校へ行かない理由だ』と答えた。
「俺がそんなどうでもいい理由で…学校に行かねぇワケねえだろ」
えええええ。
斉藤くん、ちょっと繊細な可愛らしい不良だと思ってたのに…嘘だったんですか。
少し傷つきましたよ。
「保険医の古川。狙ってんだ、俺」
ま、さ、か、の、お、と、こ。
巨乳の吉澤先生じゃなくて…なんで新人保険医の古川先生を狙ってる発言しちゃってるんですか…。
あの人、男の人ですよ?分かってます?
「1年の時は、ただ単純にサボってただけだったけど…今は、あいつの為に学校に行ってんだよ」
「………………」
じゃあ何で毎晩のように他の人とエッチしてるんでしょうか。とか、聞いてもいいのかな。
一途なのか、浮気性なのか、よく分かんない。
「だから、俺の邪魔すんな」
暗いのが怖くて俺に抱きついてるくせに、何言ってんの。
大好きな人に会いに学校に言ってるだなんて、何か可愛らしくて口元が緩むけど…。それとこれとは別だよ。
「古川先生は…授業受けろって言わないの?」
「言う」
だろうね。そうだろうよ。
じゃあ来いよ教室に。
「先生も…斉藤くんがちゃんと授業を受けたら、見直すかもよ?惚れちゃうかもしれないよ?」
「それはないだろ、こんなガキに惚れるなんて…ただのバカとしか思えない」
本当にもう、斉藤くんが分からない。
じゃあどうしたいの?何で惚れないって分かってて…授業をサボって、毎日保健室に通ってるの?
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