修学旅行

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そのあとは軽く放心状態になりながら、バスで移動した。 そう。USJだ。 女の子と遊ぶ希望を打ち砕かれた、アレ。 「伊織どれに乗りたい?」 「女の子とキャッキャ出来るやつ」 「首締めるよ?」 「申し訳ございませんでした」 本当にもう…奏は短気すぎる。毎日何本の血管を切ればそうなるの? 幻聴だろうけど血管がブチブチ切れる音が聞こえるよ…? 俺はもうちょっと優しい友達が欲しいんだけどなぁ…。 「痛い…!何で今チョップした!?」 「伊織の考えてることなんて、全部お見通しだからだ。頭蓋骨…砕くよ?」 「低音ボイスで怖いこと言わないでよ!ホラーでしかないから!」 普通に涙目になった。 そして痛む頭を撫でながら、俺達は適当に中を歩いていく。 ハリウッドドリームとか、スパイダーマンとか。テレビでよく見るアトラクションの前を素通りして 一通り、一周した。 「やっぱりアレだよな。最初はアレに乗らなくちゃダメだと思うんだ」 「なに?」 「ジュラシックパーク!」 最後にすげー急勾配で落っこちていくやつ!ずっと乗りたいなぁ…って思ってたんだよな。 やっぱ最後にビショビショになるっていうのがいいよね! 「伊織…絶叫系ダメじゃなかったっけ?」 「何言ってんだよ!あれくらいなら大丈夫だろ。落ちるの最後だけらしいし!」 「ふーん。それならいいけど」 そしてこの時…忘れていたんだ。 俺の事に関しては、奏が言うことが1番正しくて、間違いはないってことを。 数十分並んで、やっとのことで乗ったジュラシックパーク。 しかも運の良いことに、1番前の列。 確実に濡れることは決まった…! やっぱり最初に濡れる系の乗り物に乗って、最後は服を乾かしつつ遊ぶってのが賢い遊び方だよな!
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