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「あの時…殴られて、踏まれて、俺より重傷を負ってた伊織を見て…恋が芽生えないワケないだろ?」
「普通は男同士だと友情が芽生えると思うんですけど?」
奏は骨を折る重傷。
対して俺は、奏を守るために盾になったりしてたから…
肋骨が折れて、肺に刺さっていたらしい。
うん、簡単に言うとマジで死にかけた。
それでも、その時は奏とその場から逃げる事に必死で…そんな怪我を自分がしてるなんて思わずに
ただひたすらに、奏を背負ってダッシュで病院まで走ったんだ。
まあ、病院に着いて気を抜いた瞬間…奏を背負ったまま意識を失ったんだけどね。
奏を助けに行ったはずが、奏より重傷を負って、しかも奏より長く入院した。
体が完全に治ってから、そいつらには倍返しで復讐しに行ったから、今では笑い話だけどね。
後遺症も無いし。
「俺はあの時の、ボロボロになった伊織を見て…興奮した」
「それはS心をくすぐりました的な意味でですか奏さん。もしそうだったら病院へ行きましょう!」
「あの時の伊織は…可愛かった」
「もうあんな怪我すんのは勘弁ですよ!?超痛かったんだから!」
「伊織のこんな姿を見て良いのは俺だけだ、って思ったね」
ダメだ!
この人全く話を聞いてない!
ニコリと笑う笑顔は、何か…見たことない顔だった。
興奮してるんですか。
思い出しゾワゾワですか?
「ま、嘘だけど」
「嘘なの!?」
「半分は本当」
それはどの部分がですか。それによってはこれから先の付き合い方も変わってきますよ!
それでも、怖くて聞けないので黙っておくことにしましょう、うんうん。
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