飼い主の虎太郎くん。

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陸の理性がある程度までおさまって、その行為が終わったのは…チャイムが鳴る寸前だった。 俺が抜け出した授業の終わりを告げるチャイム。 30分程度だろうか、俺がずっとつまらない景色を見ていたのは。 「陸、これ」 「ありがとコタちゃん」 ポケットからティッシュを取り出し、事後の掃除をさせた。 毎回、陸の相手は系統が違う。 今回は俺が居ても興奮する淫乱野郎か。随分と満足気な顔をして寝転んでいる。 「ちょー可愛かったよ。またしよーね?」 体を軽く拭き終わって、満面の笑みで淫乱野郎にキスをした陸は、やっと一緒に帰ってくれるらしい。 ギュッと俺に抱き付いて、静止。 「はぁぁぁ…もう無理。疲れた」 「毎回言ってるけど、歩く体力くらいは残しとけ」 「目の前にご馳走が転がってるのに手を抜くなんて出来ないよー」 高木 陸という人間を理解したい人が居れば、ほんの一文で簡単に説明出来る。 体力と、理性の無い、顔はいいが見境の無い男。 これで全部伝わる。 「コタちゃん抱っこー」 「はいはい」 首に腕を回している陸の膝裏に手を回し、そのまま抱きかかえた。 いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 普通に背負ったりしたいのだが、何故かこの抱き方じゃないと陸は怒る。 「今日は授業に出るのか」 「眠いからやだー」 そうか、とだけ返事を返し、学校を出て寮へ向かった。 陸の家はこの学園の近く、歩いてほんの10分くらいの場所にあるらしい。 行ったことは無いから知らないけど。 だから、こういう時に連れて行く場所は寮生活をしている俺の部屋。 友達という存在の必要性を感じない俺の部屋へ出入りするのは陸くらいだ。
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