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ピクリとも動かなくなった斎藤くんの寝息を聞きながら、何事もなく終わった役員決め。
俺が委員長、奏が副委員長。
主に副委員長は委員長と一緒に仕事をすることが多いらしく、俺が奏に頼んだんだ。
何がキッカケで爽やかじゃないってバレるか分かんないから…副委員長やってって。
その結果、ジュース+お菓子を奢るハメになった。最悪。
それでも数百円だ。安いもんだと思いながらも…仕送りで生きている俺にとっては辛い。
だから、奏にバレないように静かにカバンを持って急いで帰ろうとスタートダッシュをした瞬間
ガシッと腕を掴まれた。
「一緒に帰ろうぜ金づる」
「金づるは止めて!」
小声で言われた言葉に、俺も小声で叫び返す。
帰り支度をしている教室は騒がしいから、俺たちの声はお互いにしか聞こえない音量だ。
泣きそうになりながらも、奏は全く腕を離さないどころかめちゃくちゃ握ってくる。超痛い。
握力何kgあるんだよってくらいのえげつない痛みがするんですけど?
「あの…いつまで握ってんすか」
「逃げようとした罰に骨でも握り潰そうかと思って」
「すみません痛いです離してくださいもう逃げませんからちゃんと奢りますから」
「じゃあ許す」
痛い…ミシミシって音したよ。
軽く涙目になりながらも、俺達は一緒に帰った。途中、コンビニへ寄ることを忘れずに。
俺達が住む寮は、学園の敷地内にある。
だから一旦コンビニまで行って、また帰ってくるという面倒な事をしなくちゃいけないけど…
自分の命より大事なものはないよね。
真白学園男子寮。
立派な建物…なんてことはなく、普通のマンション。外観はちょっと汚れた白。
玄関ホールが学校の靴箱みたいになってて、1階は食堂と大広間、大浴場と大量の洗濯機が置いてある。
大広間って言っても、なーんも無い絨毯が敷いてあるだけの場所。
おっきいテレビがあるから、まあ寛げる場所ではあるんだろうけど。
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