飼い主の虎太郎くん。

11/20

1993人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
_____________________ 『吉田 虎太郎の、人の愛し方』 カタカタと、パソコンに文字を打っていく。 「ねぇコタちゃん。俺に何か言うことなーい?」 「それなりに、気持ちよかったよ」 「いや、違うし。しかもその言葉は全然嬉しくないし!」 かすれた声で反抗してくる陸は、全裸。 事後。軽く体を拭いてあげて、俺もパンツをはいただけの姿でリビングへ戻った。 やっとこのレポートが書ける…と思ったら、服を着てる余裕も無かったからだ。 中腰で辛そうに立っている陸。少し激しくし過ぎたらしい。 「湿布、貼ってあげようか?」 「………うん」 何か言いたそうな顔でをしてるけど、湿布は貼ってほしいみたいだ。 カタカタとキーボードを打つ手を止めて、救急箱から湿布を取り出す。 ソファに陸をうつ伏せに寝かせて、優しく貼ってあげた後、ついでに自分にも貼った。 レポートに必死すぎて忘れてたけど、俺も腰振りすぎて痛いんだった。 「コタちゃん。俺、初めてネコしたんだよ?」 「ネコ?」 「女役のこと!」 入れられる側ってことか。それは知ってる。陸はいつも抱いてる姿しか見たことないし。 それがどうした?と首を傾げると、陸は頬に空気を入れて…チョップしてきた。 地味に痛い。 「処女!俺の処女あげたの!誰にもあげるつもりのなかった処女を!」 「うん」 「うんじゃないよ!謝ってよー!俺、ちょー傷付いたんだからね!」 え、あんなに気持ち良さそうにあんあん言ってたのに? 怒ってたんだ。 「ごめん、陸。でも、俺も奪われたから、おあいこだと思うよ。しかも陸は女役してる方が気持ち良さそうだったよ」 「何も言わないで!俺は新しい扉は開かないからね!ずっとタチで貫き通すから!」 「タチ?」 「男役のこと!」 俺の方が頭がいいと思ってたけど…陸の方が物知りなのかな。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加