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『吉田 虎太郎の、人の愛し方』
カタカタと、パソコンに文字を打っていく。
「ねぇコタちゃん。俺に何か言うことなーい?」
「それなりに、気持ちよかったよ」
「いや、違うし。しかもその言葉は全然嬉しくないし!」
かすれた声で反抗してくる陸は、全裸。
事後。軽く体を拭いてあげて、俺もパンツをはいただけの姿でリビングへ戻った。
やっとこのレポートが書ける…と思ったら、服を着てる余裕も無かったからだ。
中腰で辛そうに立っている陸。少し激しくし過ぎたらしい。
「湿布、貼ってあげようか?」
「………うん」
何か言いたそうな顔でをしてるけど、湿布は貼ってほしいみたいだ。
カタカタとキーボードを打つ手を止めて、救急箱から湿布を取り出す。
ソファに陸をうつ伏せに寝かせて、優しく貼ってあげた後、ついでに自分にも貼った。
レポートに必死すぎて忘れてたけど、俺も腰振りすぎて痛いんだった。
「コタちゃん。俺、初めてネコしたんだよ?」
「ネコ?」
「女役のこと!」
入れられる側ってことか。それは知ってる。陸はいつも抱いてる姿しか見たことないし。
それがどうした?と首を傾げると、陸は頬に空気を入れて…チョップしてきた。
地味に痛い。
「処女!俺の処女あげたの!誰にもあげるつもりのなかった処女を!」
「うん」
「うんじゃないよ!謝ってよー!俺、ちょー傷付いたんだからね!」
え、あんなに気持ち良さそうにあんあん言ってたのに?
怒ってたんだ。
「ごめん、陸。でも、俺も奪われたから、おあいこだと思うよ。しかも陸は女役してる方が気持ち良さそうだったよ」
「何も言わないで!俺は新しい扉は開かないからね!ずっとタチで貫き通すから!」
「タチ?」
「男役のこと!」
俺の方が頭がいいと思ってたけど…陸の方が物知りなのかな。
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