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「コタちゃん、全然優しくないよね」
近くにあるソファに腰掛けて、陸は不満そうに呟くと…そのまま風呂へ行った。
何か…悪いことでもしたかな?
そう思ったものの、今はこのレポートが先だと、こっちに集中することにした。
カタカタとパソコンに文字を打ちながら、レポートも終盤まで差し掛かった頃
少し一息つこうと時計を見ると、もうすっかり夜になっていた。
椅子の上で伸びをして…キッチンでお茶を入れていた時。
「コ、ん…っ。コタ、ちゃ…」
風呂場から、陸の声が聞こえた。
静かにしていないと聞こえないくらいの小さな声で…多分、俺を呼んでいる。
何かあったのかと思い、机にお茶を置いてから風呂の扉を開けると
「陸…?」
「コタちゃ…って、うわぁ!」
何か、めっちゃ驚かれた。
貧血でも起こしてたのかな、とか。万が一の事を考えてたのに、陸はものすごくピンピンしてるし。
じゃあ何で俺を呼んでたんだろう…と思って、視線を下に降ろしていくと
「何してるの、陸」
呆れて、それしか言えなかった。
「仕方ないじゃん!コタちゃんがちゃんとしてくれないんだから!」
上を向いた息子に、太ももには白いものが流れて落ちていく。
自分で後ろを触って…俺の名前を呼んでたのか、陸は。
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