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とにかく、ここで露出魔と認識されても困るから…陸を思いっきり押し倒して、足で腕を押さえながら服を着た。
いとも簡単に陸を抑えることに成功したからか、教室に居たクラスメイトからは『おおー』という声が上がる。
「コタちゃんのばかぁー!」
「うん、ごめんね」
半泣きになっている陸の両脇を掴んで俺の席に座らせて、俺も隣の席に座った。
どうしたの?って聞いた頃にはもう、さっきの女の子は居なくなってて…
ちょっとだけ、意味不明な行動をした陸に…感謝した。
「コタちゃんが乱暴だ…」
「そんなことないよ」
陸が無理やり襲ってくるから悪いんだ。白昼堂々よくやるよ。
「で、何でこんなことしたの」
「うぅー」
「ちゃんと話してくれないと分からないよ」
諭すように話し掛けると、陸は俯いて…ボソリと喋った。
「退学…させられる」
「え?」
「退学させるぞって言われたんだよぉー!うわぁーん!」
「………………」
子供みたいに泣き真似してる陸に、何て声を掛ければいいのか分からなくなった。
半泣きだけど、別に泣いてるわけじゃない。
退学って。
この学力の無さで…しかも、先生も手を付けられない問題児だから
いつかはこの時が来ると思ってた。
って言ったら、怒られるかな?
「いつ?」
だから、取り敢えず…いつ退学になるのか聞いてみたら『分からない』って言われた。
うん、もう俺も分からないよ。
「どういうこと?」
「さっき先生に呼ばれてさ…次、問題を起こしたら退学だって…」
先生も、やっと止められない暴君に終止符を付けに来たか。
退学ってのが1番効率のいい脅し文句だもんね。
いくら俺が止めに入るからっていっても、阻止してるワケじゃないし…これ以上は目をつぶれなくなったんだろう。
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