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私はあの話を聞いて、帰ってきてから着替えもせずにただぼーっとしていた。
そこにある空気は、私を慰めもせず、ただ唇を乾かしていく。
空回りをしたネームが、床の上に無造作にばらばらと舞っている。ああ、もう知らない。
ずっと原稿用紙を見ていると、四角い枠の泥るみに、足を取られそうになる。嫌だ、もうこんなのも見たくない。原稿?ペン?スクリーントーン?知らない。知らない知らない知らない!!
私はネームを踏みつけ、破り、インクを一滴残さずぶちまける。もう顔につこうが口の中に入ろうがどうでもいい。もう役目のなくなった原稿なんて、いらない。
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