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微妙に自覚があるだけに、
痛いところを突かれて、
あたしは思わず唸って黙った。
「昨日ねぇ、
私んとこにメールが来てたよ」
「へ? 樹から?」
言われたことを理解するのに、
一瞬の間があった。
「そう。心配してた」
突拍子もないことを、
少しも意外ではないように言いながら、
美悠はSuicaを取り出した。
そして、ピッと軽快に改札を通り抜けて行ってしまう。
ちょ、ちょっと待ってよ!
「言ってた時間に帰って来ないんだけど、
何かあったのかって」
慌てて追いついたあたしを、
待ち受けていたかのように、
立ち止まったと同時の、
絶妙なタイミングで、
美悠は単刀直入に切り出した。
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